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背中の痛みで考えられる病気は?何科を受診すればいい?

2024年8月16日

背中の痛みの原因は多岐にわたり、肩こりや無理な姿勢による場合もあれば、内臓の病気が関係している場合もあります。

 

ここでは、背中の痛みに関係する内臓(心臓、すい臓、胃、胆のうなど)の病気について解説します。

 

背中の痛みの原因【1】心臓や血管の病気

背中の痛みに関係する心臓や血管の病気には、狭心症や心筋梗塞、大動脈瘤・大動脈解離などがあります。いずれも命にかかわるおそれがある重大な病気なので注意が必要です。

 

また、背中の痛みのほかに吐き気や息苦しさ、胸の痛みなどの症状があらわれることもあります。

 

狭心症・心筋梗塞

狭心症は、心臓の筋肉に血液を送る血管(冠動脈)が細くなって、心臓の血液が不足する病気です。背中の痛みのほか、左側の胸部痛や息切れなどの症状も出ることがあります。

 

心筋梗塞は冠動脈が完全にふさがり、血流が途絶えることで心臓の筋肉の細胞が壊死を起こす病気です。狭心症や心筋梗塞といった心臓の病気による背中の痛みは、左に出る傾向があるとされています。

 

心筋梗塞は致命的な疾患なので、前段階の狭心症の状態で発見し、治療を始めることが重要です。背中の痛みのほか、吐き気や嘔吐、息苦しさ、食欲不振などの症状もみられ、病気の早期発見に役立ちます。

 

大動脈瘤・大動脈解離

大動脈瘤は、人体の中で最も太い血管であり、身体の真ん中を通る大動脈が“こぶ”のように病的にふくらんだ状態です。大動脈瘤では、背中の痛みのほか、しわがれ声や胸部の痛み、息苦しさ、食べ物が飲み込みにくいといった症状もみられます。

 

大動脈解離は、大動脈の膜が避けたことで大動脈の壁であった部分に血液が流れ込み、大動脈内にふたつの通り道ができた状態です。大動脈解離は、何の前触れもなく背中や胸に激痛を起こすのが特徴とされています。

 

背中の痛みの原因【2】膵臓の病気

すい臓(膵臓)は、胃の後ろにある長さ15~20センチほどの臓器です。背中に近い場所にあるため、すい臓の病気は背中の痛みに関係していることがあります。

 

背中の痛みに関係するすい臓の病気には、急性すい炎や慢性すい炎、すい臓がんなどがあります。背中の真ん中、あるいは背中の左側(特に肩甲骨の下あたり)が痛む場合は、すい臓の病気が関係していると考えられています。

 

急性膵炎・慢性膵炎

急性すい炎は、すい臓に突然の炎症が生じる病気です。主な原因はアルコールと胆石といわれています。急性すい炎では上腹部痛や背中の痛みのほか、吐き気、嘔吐、発熱などの症状があらわれます。

 

慢性すい炎は、すい臓が繰り返し炎症を起こし、正常な細胞が破壊されて機能が低下する病気です。上腹部痛や背中~腰にかけての痛みが主な症状で、吐き気や腹部膨満感(お腹の張り)をともなうこともあります。さらに進行すると、下痢や脂肪便、体重減少といった症状もあらわれます。

 

膵臓がん

すい臓がんは、すい液が通過するすい管に発生しやすい病気です。初期は無症状が多いとされていますが、背中の痛みや腹痛、食欲不振、腹部膨満感、体重減少、黄疸(皮膚や白目が黄色くなる)などの症状で早期発見・早期治療につなげられる可能性があります。

 

背中の痛みの原因【3】その他の病気

背中の痛みは、胃や十二指腸、胆のうなどの病気に関係していることがあります。それぞれの主な病気を紹介します。

 

消化性潰瘍(胃潰瘍・十二指腸潰瘍)

消化性潰瘍(胃潰瘍・十二指腸潰瘍)は、胃や十二指腸の粘膜がただれて傷つき、粘膜の下にある筋層までダメージを負うことがある病気です。共通する症状に上腹部痛や背中の痛み、食欲不振、吐血、下血(黒色便や血性の便)、胸焼けなどがあります。

 

胃潰瘍は、食後に痛み出し、食べすぎると長時間痛みが続くのが特徴です。十二指腸潰瘍は、空腹時や夜間に腹痛が起こりやすく、食事をすると一時的に治まる傾向がみられます。

 

急性胆のう炎・慢性胆のう炎

急性胆のう炎は、胆のうに炎症が生じる病気です。みぞおちから右わきにかけての痛みが特徴で、背中に痛みを感じる場合もあります。また、炎症がひどくなると痛みが強くなったり、熱が出たりすることがあります。

 

慢性胆のう炎は、繰り返される炎症によって胆のう壁が厚くなり、胆のう自身は収縮してしまう病気です。一度発症すると、再発する可能性が高いといわれています。

 

胆石症

肝臓でつくられる胆汁によって、胆のうや胆管にできる石のような固まりを胆石といいます。胆石症は、胆石によって引き起こされる病気の総称です。

 

胆石が胆のうにあるときは無症状のケースが多いですが、胆管をふさぐと背中の痛みや腹痛(主に右上の腹部)、吐き気などの症状があらわれます。さらに細菌感染を起こすと、発熱や悪寒、黄疸の症状もみられることがあります。

 

背中の痛みは何科を受診すればいい?

背中の痛みが続くときは、痛みの種類やそのほかの症状によって内科や消化器内科、整形外科、泌尿器科を受診しましょう。

 

【内科・消化器内科】

これまで紹介した症状に思い当たりがあり、内臓の病気の疑いがあるときは内科や消化器内科を受診しましょう。背中の痛みにストレスが関係していることがあれば、心療内科の受診をすすめられる場合もあります。

 

【整形外科】

動かすと痛い背中の痛みや、肩こりや五十肩が原因の背中の痛みは整形外科を受診しましょう。

 

【泌尿器科】

叩くと響く痛みがある、あるいは尿トラブル(頻尿、排尿痛など)をともなうときは、泌尿器科を受診しましょう。

 

仁井田ゆいクリニックでは、「仁井田のかかりつけ医」として、内科や消化器内科の診療を行っています。背中の痛みや吐き気、腹痛など、内臓の病気を疑う症状が続く際は、まずは当院までお気軽にご相談ください。