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高血圧症

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高血圧症
について

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高血圧症は、血圧が高すぎる状態が続く状態のことです。
血圧とは、心臓から送り出された血液が動脈の血管壁の内側を押す力です。

1高血圧症の原因

高血圧症は大きく分けて本態性高血圧、二次性高血圧に分けられます。

本態性高血圧

原因不明の高血圧は、本態性高血圧と呼ばれています。高血圧の85~95%が本態性高血圧です。心臓と血管に生じたいくつかの変化が組み合わさって、血圧を上昇させると考えられます。例えば、1分間に送り出される血液の量(心拍出量)が増えたり、血管の収縮によって血流にかかる抵抗が増加したりすることによります。
肥満、体を動かさない生活習慣、ストレス、喫煙、過度の飲酒、食事での過剰な塩分摂取などが高血圧の発症や悪化に関わっています。

二次性高血圧

原因の明らかな高血圧は、二次性高血圧と呼ばれます。高血圧の5~15%は二次性高血圧です。腎臓の病気、内分泌の病気、薬剤性による副作用などが挙げられます。

2心筋梗塞や脳卒中の原因にも

高血圧症を放置していると、心筋梗塞や脳卒中、腎臓病といった重大な病気を招きます。しかし、よほど血圧が高すぎない限り、自覚症状が現れることは少なく、病気であると感じにくかったり、治療しようという気持ちになれないことも多いです。

高血圧が大きな原因となる心筋梗塞や脳卒中など、脳心血管疾患の死亡者数は年間約10万人とされています。そのうちの50%の患者さんは、血圧が120/80mmHgを超える高血圧が原因と推定されています。

日本の高血圧者数は約4500万人と推定されていますが、自覚症状もないために、治療をせずにいる患者さんの数は約2000万人と推定され、非常に多くの方が未治療のまま血圧が高い状態が続いていると推定されています。

高血圧症の
診療

TREATMENT

1診断

高血圧症の診断は、血圧を測定することで行います。医療機関で測定する場合、上の血圧が140mmHg以上、下の血圧が90mmHg以上あると高血圧症と診断されます。自宅で計測する場合は、上の血圧が135 mmHg以上、下の血圧が85 mmHg以上を高血圧症とします。多くの方は、診療所や病院での血圧が上がることが多いので、両者には多少のずれがあります。

ただし、一度計測して基準値を超えたからといって、ただちに高血圧症と診断されるわけではありません。血圧は常に変動しており、通常は、朝起床するとともに上昇し、活動している昼間は高く、夜間や睡眠時は低くなります。また、ストレスが強ければ高くなりますし、冬は寒さのために血管がキュッと締まるため、夏よりも高くなりやすいです。

したがって、診断を下す際には、何度か繰り返し計測をします。起床後、排尿などを済ませ、数分ゆっくりしてから、2〜3回測定した平均値を記録しておくと良いでしょう。数日以上に渡って、常に基準値より高くなるようなら、高血圧症が疑われます。医療機関では、動脈硬化の程度や合併症の有無を血液検査や検査機器を使用して調べます。また高血圧症を起こすホルモンの異常など、背景に別の疾患(この場合を「二次性高血圧症」と呼びます)がないかどうか調べるために、30分程度横になって休んでから採血採尿を行うこともあります。

受診の目安としては、自宅などで血圧を測り、1~2週間の平均値が基準値を超えるようなら、医療機関を受診したほうがいいでしょう。

2治療

塩分をはじめとして食事内容の見直し、飲酒や運動習慣の是正など、お薬を使わない治療も行います。

ただ、そういった生活習慣を見直しても血圧が高い場合、もしくは初めからかなり血圧が高い場合などは、お薬を使います。

お薬の名前になってしまいますが、代表的なお薬として、Ca拮抗薬、ARB、ACE阻害薬、利尿薬、β遮断薬、α遮断薬などがあります。患者さんの特性によっては漢方薬を使用・併用する場合もあります。それぞれのお薬には特徴があり、積極的に使うべき患者さんや状態、また患者さんによっては使うべきではないとされる薬や、慎重な投薬が必要な場合がありますので、高血圧の原因や合併症の病態に合わせて選択していきます。お薬の値段もまちまちですので、経済的な状況を鑑みて、ジェネリック薬品なども合わせて検討していきます。

3治療目標

高血圧治療ガイドライン2019(日本高血圧学会)によると、まず130/80mmHg以下を目指します。ですが、120/80mmHgを超えてくると、脳卒中や心筋梗塞のリスクが高くなることが研究でも示されており、より臓器障害を防ぐために、120/80mmHg以下を目標としています。

ただし、高齢者では、下げすぎることによって、かえって合併症を誘発したり寿命を短くしてしまうこともあり、血圧の下げ過ぎには注意が必要です。診察室での血圧だけでなく、家庭での血圧をみることによって血圧をコントロールしていくことが望ましいです。ですが、認知症などの症状から自宅での血圧測定が難しい場合には、診察室での血圧を指標にコントロールしていきます。